2013年8月22日木曜日

【映画】パシフィックリム

180億円という大金を特撮好きなオタクに渡して映画を作るとどうなるか?
パンズラビリンスやヘルボーイを手掛けたキャラメイクには定評あるギレルモデルトロ監督。彼は小さい頃からゴジラやウルトラマンなど特撮映画を見て育ったオタクで、今現在も浦沢直樹のモンスターのドラマ化も決まっている。とにかく漫画や特撮が好きで来日した際には中野ブロードウェイでフィギュアを買いあさったりお台場で等身大ガンダムを見て絶句するなど金がある外人の出来るオタク。そんなデルトロのやりたいことをとことんやってのけた特撮愛に満ちた作品がパシフィックリムだ。


あらすじ
2013年、突然未知の巨大生命体が太平洋の深海から現われる。それは世界各国の都市を次々と破壊して回り、瞬く間に人類は破滅寸前へと追い込まれてしまう。人類は一致団結して科学や軍事のテクノロジーを結集し、生命体に対抗可能な人型巨大兵器イェーガーの開発に成功する。パイロットとして選ばれた精鋭たちはイェーガーに乗り込んで生命体に立ち向かっていくが、その底知れぬパワーに苦戦を強いられていく。

とまあ内容はそんなに深いものではない。社会風刺もメッセージもないがそれがどうしたと言った感じ。そんなことは問題ではない。
まず相変わらずのキャラデザ。デルトロといえばパンズの死神だったり、ヘルボーイの巨人などわくわくするような斬新なデザインのキャラクターが多いが今回も期待を裏切らない。相当なオタクということもあってか映画内ではマジンガーZの頭部の合体シーンであったり怪獣もガメラやウルトラマンの敵を意識したような作りなど日本を意識しながらもオリジナリティあふれるキャラがたくさん。
キャラクターだけでなく景観にもかなり凝っており、香港のスラムな町並みや闇市などは一時停止してじっくり見たくなるほど。またシドニーやフロリダ、東京など各国の都市が崩壊していくショットは廃墟マニアにはたまらない。
次にロボット。ロボットを操るのは二人ひと組でシンクロし人が歩けばロボットも歩くというエヴァ的な要素。そのため各国のパイロットは親子や兄弟、恋人など信頼し合ったパートナーとイェーガーを操る。各国それぞれに特徴があり中国は三本腕で拳法を使った身軽な動きだったり、ロシアは旧式で重いがパワフルな技を繰り出していたりとわくわくが最後まで収まらない。



最後に俳優。あまり有名ではないが個性豊かな面々がそろっている。日本からは天下の名優芦田真菜ちゃんと菊池凛子。真菜ちゃんはハリウッドデビューらしい。へー。ヘルボーイでメイクいらないんじゃないくらいの強烈なつのだ☆ひろ顔のロンパールマン。JJエイブラムスにしか見えないチャーリーデイ。ダークナイトライジングでガニ股で氷河に落っこちた秘書役のバーンゴーマン。サンシャインクリーニングで清掃用具屋の兄ちゃんやってたクリフトンコリンズJr。とまあよく知らないけど見たら一発で覚える系の濃い俳優が勢ぞろい。下手にシュワちゃんとかじゃなくてホントよかった。
ロンパールマンの闇市で怪獣を売りさばいてる役が一番お気に入り。やらしい金の皮靴をはき、金歯をちらつかせナイフ捌きがたくみ。赤ちゃん怪獣に食われるが......

 私は小さい頃からあまり特撮を見てこなかったしガンダムやエヴァなどのロボット系も全然触れずに大人になった。おまけにジブリもトトロとこないだ始めてみたナウシカの二本という非国民。そんな人間でも今作は大いに楽しめたし二度劇場で見てしまうほどだから見てない人間に対してはなんでみてないの?と疑問の念しかない。でかいスクリーンで見れる今のうちに見ることをお勧めする。
どうやら日本中でも興奮してる方がわんさかいるようでこんなゴジラ風の予告を作る人まで現れました。http://youtu.be/y3Qygyy4204
本田猪四郎のゴジラの予告がこちら。
ちなみにパシフィックリムの最後に本田猪四郎に捧ぐというメッセージが。泣ける。


実際萌&健太ビデオって看板が気になって芦田真菜の演技は全然見てない。


【映画】ワールドウォーZ


ジョージロメロがナイトオブザリビングデッドを製作し世に出した時、世界はまだゾンビというもののパワーに気づかないでいた。その後ドーンオブザデッドが爆発的なヒットを記録し、世界は一瞬にしてその魅力に感染。日本でも邦題ゾンビとして流行。今から30年ほど前の話だ。その甲斐あってかゾンビのイメージはいい意味でも悪い意味でも定着した。グロテスクで動きがとろいが、数の暴力で襲いかかる恐ろしいクリーチャーだと。イメージが定着したことで一般的な思考を持っている人間ならばゾンビと聞いた瞬間見るのを避け、見もせずにB級と決めつけるようになった。だからだろうか。今作ワールドウォーZのPRにおいてゾンビという言葉は一度も聞かない。CMでもよくわからない何かが襲いかかってくるだけでゾンビなのかどうかはわからない。なんも知らない人からしたらブラピの新作はジャッキーコーガンが世界を救うのカナ?くらいにしか分からないほど情報量が少ない。そのためレビューはふたを開けたらこれゾンビ映画ジャン!!カネカエセ!で湧きあがった。実際劇場にもホントに内容を分かって見に来てるのかわからないおばあちゃんとか、ドラゴンボールZの延長かな?みたいな大学生、ブラピ主演なら間違いないでしょみたいなギャルに、なんだかすごそうだからくらいのJKが多々見られた。
確かにブラピ主演で金もかかっててなんだかすごそうな映画を見た感は否めない。実際すごかったし。


内容。
ベストセラーを記録した、マックス・ブルックスの小説を実写化したパニック大作。人間を凶暴化させる未知のウイルスの感染原因を解き明かそうと、感染者と非感染者の死闘が繰り広げられる世界各地を駆ける元国連捜査官の姿を、息詰まるタッチで活写する。
元国連捜査官のジェリー(ブラッド・ピット)は家族とパンケーキを焼いて連想ゲームをするだけの平和な毎日を送っていた。世界のどこかではウイルスによる何かで戒厳令が出ているとニュースで知るが他人事で毎日を過ごしていた。
ある日渋滞にはまっていると前方から爆発音が。そして間髪いれずにゴミ清掃カーが渋滞をまき散らし人が人を食う光景を目の当たりにする。町中がパニックになるなかなんとか逃げ延び空母に搬送される。そこで人間を凶暴化させる未知のウイルスが猛スピードかつ世界的規模で感染拡大しているのを知る。そんな中、元国連職員の技能と知識を買われたジェリーは、各国を回ってウイルスの感染原因を突き止めるよう依頼される。
感染源を突き止めるべく最初に行ったのが韓国。ゾンビという電報を最後に連絡が途絶えていたため調査に行くが希望の星と言われていたハーバード大卒の青年がスリップしてナチュラルに自殺。大バカ者である。しかたなくブラピのみで捜索するがそこでイスラエルに情報源がいると聞く。
 
イスラエルでは早くからゾンビの襲来を察知しており高い堤防を築いていた。しかしちょっとした油断で堤防を越えられてしまう。
ここが最も見どころのアリの大群がごとくゾンビが群れて壁を登るゾンビだ。

これを見るために1800円払ったと言ってもいいくらいこの映画の見どころ。イスラエルの巨大な壁を運動会がごとく這いあがり連携プレーで町を陥落させていく。まるでバベル。ジョージロメロがドーンで体現させたかった大量生産&大量消費主義ゾンビがまさにこれだろう。砂埃を上げて狂ったように組み体操しながら壁を超える姿はこれまでになかった。
その後イスラエルから旅客機で逃げるのだが、まさかの機内にゾンビが隠れてたおかげでパニックに。乗客が次々に感染していき諦めかけた時、ブラピが機内でグレネードを投げたおかげで外へ吸い込まれてくゾンビと乗客。もうこの時点でむちゃくちゃだがブラピはシートベルトをしていたので墜落したものの助かる。御巣鷹山では160人がぐちゃぐちゃになったというのに!ブラピが実はゾンビなんじゃねえのか?
イスラエルでゾンビのワクチンを思いついたブラピは怪我を負いながらもなんとかWHOに駆け込み対処法を提案する。それはゾンビウイルスが入る以前に別の強力なウイルスが体にあればそれが抗体の役割を担うというもの。おたふく風邪だからインフルになりませ~んみたいなものか。しかし強力なウイルスはゾンビがわんさかいる別棟にある...どうするブラピ!世界は救えるのか!?家族に再び会うことはできるのか?!ゾンビに人類は屈することとなるのか....つづく


ちなみにホントに続編あるらしい。危険な匂いしかしないが。タイトルはworld war2Zで。歴史ドキュメンタリーみたいだね。神風ゾンビとか出てこないことを祈る。
序盤から中盤までテンポがかなりいい。あっという間に世界中に感染してパニックになってく様子がリアルに描かれており、実際今の世界で起きたらホントにこんな感じだろう。発症源が台湾の病気だったり温暖化によるものであったり定かになっていない部分も非常にいい。昨年あったアメリカの黒人がホームレスの顔を食った事件もちゃんと使われていた。ゾンビ映画では定番の自分で工作して武器を作ったり防具を作る描写もありLast of usを連想。走りまくるゾンビも『28日後...』風だしゾンビ映画はある意味で行くとこまで行ったのかもしれない。

あとはCGのクオリティがすばらしい。ここで製作の段階のムービーが観れるがここもCGなのかよ!ってくらい細部まで作りこまれていて技術の進歩を感じ取れる。http://youtu.be/NTr0k6-8_Fw
私はCGの技術に関しては全く分からないしPS3で遊び倒してるくらいで作り方は分からないが相当大変らしい。人物のスキンからモーション質感などむちゃくちゃ細かいうえにバグがあるととんでもないことになるという悪夢。

総合的に見て自分はすごい楽しめた。ゾンビ映画に必要な要素をちょっとづつかじりながらもレートを下げて多くの人に見てもらおうという監督の意図も見れたし。バイオハザードなんかが好きな人からちょっと怖めのアクション(ブレイドとかアンダーワールド)好きな人はガンガンお勧めする。刺激がほしい人にはたまらないはず。ただゾンビ映画に必ずある現代社会への批判みたいなものは一切感じ取れなかった。ただわけがわからないパニックに巻き込まれながらも運よく状況を切り抜け結果僕らは戦い続けますみたいな。実際ストーリーはシンプル。頭すっからかんで見れる。ただ突っ込みどころは多々あるからそこはスルーで。

2013年8月19日月曜日

【雑記】 SEKAI  NO OWARI

残念ながら中高生に人気のJpopグループのレビューをするわけではない。
突然だが世界の終りを想像したことはあるだろうか。
隕石でも宇宙人でもパンデミックでもいい。突然人間の数が激減していわば世紀末状態になった時どうやって生き延びるか。そんな妄想を私はよくする。映画やゲームでもそういったシチュエーションを取り上げたものは数多く存在し、大ヒットを記録している。そんなフィルムやソフトを一部紹介したいと思う。

・【映画】ザ・ロード
ヴィゴモーテンセン主演の世紀末映画。核戦争が起きてしまい、世界は少数の人間しか残らず、朽ち果て続けるフィールドをさまよい南を目指しもがきながら生き延びる親子の話。全体を通して重々しい空気が漂いとてもリアルで、実際に世紀末になったらこうなるのだろうなというシーンが多くある。例えば食料が尽きた世界ではもはや食べる対象は人間にシフトし、パワーを持たない人間は日々恐れながら暮らす。パワーを持った人間はコミュニティーを形成しパワーを強める。抑圧するものがない以上最も恐るべき存在だ。あるいは信じる心を失ってしまうところ。世紀末下においてもはや親族ですら信じることができなくなり、疑心暗鬼になり世界はますます荒んでいく。そんな心情やグレー一色な世界が実際に世界に終りが来たらどうなるかということを教えてくれる恐ろしい映画。ただ、途中親子が秘密の倉庫を見つけそこにはカン詰めやら食料が山のようにあり、久々におなかを満たすシーンは重いシーンからの反動で至福の時を感じさせる好きなシーンでもある。


・【映画】ウォーカー
デンゼルワシントン、ゲイリーオールドマン、ミラキュニスという俺的豪華ラインナップな作品。文明が崩壊した後、男は本を西へ運べという言葉で歩き続ける。途中で訪れた街のドンは男が持っている本=聖書が統率力の持つ重要な書だとしてパワーで奪おうとする。しかし男には聖なる力により守られているため死ななくて本を無事西に持っていったとさ。この文だけで分かるようにアメリカ人大好きキリスト映画&開拓者スピリッツ映画。教訓みたいでイライラしますが世界観的にはすごい良い。最後ミラキュニスがモンスタービーツバイドクタードレをつけるシーンが印象的。


・【映画】トゥモローワールド
西暦2027年11月。人類は希望を失い、世界は恐慌状態におちいっていた。なぜか出産の能力が失われ、18年間にわたって全く子供が生まれず世界は絶望。反政府組織がテロを毎日のように行う中反政府組織のリーダーである妻にある人物を護送するように頼まれる。それは子供を身ごもった黒人の女の子だった。という話。世界観的にはあまり世紀末ではないけどシヴィルウォー中の街なんかはプライベートライアンのくつした爆弾を思い出させる世紀末具合。カメラワークが非常に巧みで当事者だと錯覚させスリルを味わえる。


・【ゲーム】ラストオブアス
こちらは2013年頭に発売して以来アメリカでメガヒットを記録し世界中で話題となっているPS3およびXBOXのソフト。ストーリーは簡単に言うと、凶暴化するキノコの菌が蔓延して世界が混沌に包まれてる中唯一感染しない抗体を持った女の子が現れ主人公がワクチンを作ってもらうために遠くの病院まで引率するという話。これだけ聞くとお荷物運搬ゲーみたいだがさすがはノーティドッグ(アンチャーテッドの製作グループ)。非常に細かい部分にまで作りこまれており、少女エリーのAIだけでなく敵のAIもかなり複雑にプログラムされている。いわば今までは同じところをぐるぐる回るか敵を見つけたらただ追いかけるだけだったAIがあちこちを探しまわったり隠れたりと本物の人間のような動きをするのだ。また世紀末感もよ考えて作られており、弾薬はフィールドに少ししかなく食料もめったにない。そのためレンガを投げたり、自分で酒と布で火炎瓶を作ったりとギリギリのカツカツの生活を強いられる。難易度は非常に高いがその分リアルでゲームに引き込まれていく。廃墟と化したアメリカの町並みも必見。



・【ゲーム】フォールアウト
ザ世紀末。1997年にフォールアウトシリーズ第一作がリリースされ莫大なヒットを記録し今では3まで出ている(+NV)。フォールアウトとは放射正降下物を意味し、いわゆる核。町並みは基本的にぼろぼろで核のせいで近づくと放射能を浴びてしまう危険なところもあり。がれきの中からガラクタを集めて武器を作るのもよし、町の人間をホロコーストして支配してしまうのもよし、無難にストーリーを進めるのもよしとかなり自由なゲーム。ただやりこみ要素の多さとマップがだだっ広いせいか、フリーズがむちゃくちゃ多くPS3のハードディスクを破壊するゲームとしても有名。マッドマックスやソイレントグリーン、古くは半魚人などの映画からインスピレーションを受けている。