2015年2月25日水曜日
【映画】ブルーリベンジ
主人公の男は青いセダンに暮らすホームレスである。冒頭数分は全くセリフが無く、孤独な主人公を静かに描く。
ある朝車で寝ていると顔見知りの警官が窓を叩く。主人公の両親を殺した犯人が出所するのだ。
この日を待ち望んていたと言わんばかりに主人公は準備をしだす。この辺りまでで約20分。腕のいい殺し屋なのかと思いきや…
ズボラ過ぎる。
見ていてイライラするほど容量が悪く、ダメダメなのだ。ただ、それが逆に我々観客を映画に引き込ませる。ほら早くしないと敵が!とか後ろ!後ろ!みたいなおっちょこちょいで見てらんない感。
膝に受けた矢を抜くシーンなんかはかなり笑える。薬局で抜くためのアイテムを揃え、さあ抜くぞってことで抜こうとするが痛すぎて病院に駆け込む。
まあでも普通の素人が殺しをやるとなったらこんぐらい手際が悪いよなと納得もしてしまう。気付いたら我々は感情移入しているのだ。
全編通してセリフはかなり少ない。無駄を省き、間を大切にし、静かに事が進んでいく様は、まるでコーエン兄弟の名作ノーカントリーに近い。
そしてなんだろう、アメリカの田舎町のおぞましさは。彼らによってアメリカの田舎町に行くことがどんどん億劫になっていく。ファーナスでもそうだったが、アメリカの田舎町というどこか土着性のある趣深い画が次に何が起きるのか予測ができず期待させる。日本ではそれはないが。
ポストコーエン兄弟と言われるだけあって、画面に引き込むやり方はうまい。
またレフン監督の息吹もなんとなく感じた。口数は少なくとも煮えたぎる思いだったり、シーンを絵画のように、バランスのとれた撮り方をするあたりはドライヴ好きにもたまらないだろう。インディペンデント感は少なからずあるが、それはこれから洗練していけばいい。90分という短時間かつシンプルなストーリーで、ここまで面白さを出せるのは今後にかなり期待できる。
終始緊迫感と重苦しさに溢れているものの爽快感を味わえる、なんとも不思議な体験はこれからさらに他の作品でも味わいたいと感じる程だった
最後の最後にヴァージニアからの手紙が配達される描写もいい。血で血を洗う復讐劇の本当の終わりを表すようで。
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