国民全員敵。
そんなんロメロのドーンオブザデッドを人生のベストに掲げる以上見ないわけにはいかんわけで。
ワールドウォーZでも、基本的にアメリカではなく異国の地でてんやわんやするという、「言葉も土地勘も風習も知識ゼロで極限の状態」なんてのが増えてきた。個人的に南アフリカとかメキシコとか東南アジアを題材にして、てんやわんやするのは正直大好物である。オンリーゴッドではタイのルールに反して洗礼を受け、ワールドウォーではわけもわからずイスラエルの混沌に巻き込まれ、悪の法則ではメキシコの大麻カルテルに骨の髄まで吸われる。
アメリカとかヨーロッパ圏は見飽きてきた。もちろん絵が映えるしスクリーンとしての効果は相当期待できる。しかしそこであえてハリウッド俳優達を訳も分からないミスマッチな土地に置くと何とも言えない不安感が襲う(全然画と合ってないから)。
今回のクーデターでは、水道会社の中間管理職のオーウェンウィルソンが事業規模拡大の為にアジアに赴任してくるところから始まる。不慣れな生活に慣れないながらも明るく過ごそうとするが、到着後直ぐに突然クーデターが勃発する。大統領が暗殺されたのだ。その瞬間国民の怒りは爆発し外国人狩りが始まる。
はじめは勝手に外国人が大統領暗殺の犯人だと決めつけてキレてるのかと思えば、インフラ整備を名目に国をとことん借金まみれにし乗っ取ろうとするという国家規模の侵略であった。それにいち早く気づいた反乱軍は外国人狩りを行なった、という実はすごい社会派批判交じりの作品。
オーウェンウィルソンが新聞を離れまで買いに行くと突然クーデターが勃発するわけだが、そこからのジェットコースターテイストな緊迫感の連続がとても心地よい。
懇願しようと容赦なく撃ち殺したり、目の前で嫁を犯そうとしたり、ナタとか覆面とか発展途上国らしいエグさ。
何言ってるかも全く分からないし絶望しかない。
昔グランドセフトオートでチートを使って自分以外全員敵モードで何分生きられるか(大抵RPGですぐ死ぬ)を延々やってた私には、この映画はカンヌで賞取ってもいいレベルの面白さに映りました。
自分の子供に撃たせようとするシーンとか最高だよね。その後の母ちゃんの母性と狂気半分半分のノックアウトはなかなかトラウマものだけど。
ピアースブロスナンが全部持ってきすぎだしなんなんすかあのかっこいいラスト。
余談だけどオーウェンウィルソンってくだらない冗談に延々付き合ってくれそうな顔してるよね。
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