LGBTの理解がより一層進み身近なものになっていく。
今年に入ってからすでに3,4作はそういった類の映画が公開されている。
つい最近公開されたキャロルではレズビアンを中心に、批判や差別を乗り越えた二人が美しく描かれた。
今作はトランスジェンダーというマイノリティの人々にフォーカスを置く。
トランスジェンダーとは生まれ持って性とは逆の肉体を持つ人々をさす。劇中の言葉を借りるのであれば神様が入れ物を間違えたのだ。
エディレッドメイン演じるリリーはある瞬間をきっかけに自分は女性の魂を持っていることに気づきいてもたってもいられなくなる。そして世界で初めての試みをするというストーリー。
全編通して意図的に絵画のように見せる映像やしぐさ一つ一つが女性の自然体でしかない演技などため息の出るような映像美の連続でアート好きにはたまらないだろう。
しかし映画というものは不思議と中心となる人物がどうしても補正がかかって擁護されてしまう。
もちろん性転換手術を受けるという勇気は素晴らしいものであるし、人生を放棄する勇気が必要だ。それはともかく、主人公は周りを全く配慮しない。取り残された妻の前で昔興味のあった男に言い寄ったり、結婚していたことをまるで記憶喪失かのように否定したり、悪く言えば都合がいい。
もちろん女性になったからには妻という関係性は少しおかしい。ただそれを切ないラブストーリーという言葉で丸め込めるのはどうかと。
キャロルでも男は総じてくずのように描かれていたが、逆の視点からみると女が勝手なように映る。
一つ一つをピックアップすると素晴らしいが、全体をまとめたストーリーはあまり腑に落ちないものであった。
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