ここまで読んだだけでも日本人なら誰しもショーシャンクやんと言うだろうが、こちらは1979年公開であり、ショーシャンクのほうは舞台をオハイオに移して説教じみたストーリーとお涙を織り交ぜた脱獄。こっちは政府に対するアンチテーゼみたいなものを感じる。囚人に対する気分次第で行われる人権を無視した行為、アルカトラズは絶対だという慢心から起きた崩壊(事実一年後に閉鎖することとなった)、またこの物語が事実であるという強烈な裏付けなど非常に面白いエッセンスが感じられショーシャンクみたいな高校生が映画通だと勘違いしてしまうような安直なつくりではないがベースとしては同じ。ちなみに私もショーシャンクは大好き。
この世に絶対は存在しない。絶対神だとか絶体絶命だとか言葉としては多く存在するが、いかなることにも穴があり、可能性が存在する。絶対勝てないといわれたスパルタカスの戦いや絶対大丈夫と言って妊娠したり絶対と書かれた選択肢は大抵間違いだ。絶対という言葉に絶大な安心感を感じてしまうのが人間の弱い部分かもしれない。アルカトラズの場合もまさにそうであり、周りは潮の流れが速く陸まで1マイル、牢獄は鉄壁で誰も出ることはできないと高をくくっていた。しかし海に周りを囲まれていれば鉄はさびるのは当たり前だし錆びるのは時間の問題だ。その盲点に誰よりも早く気づき行動したのがイーストウッドおじいちゃんであり、それは結果として絶対を打ち破ることとなる。
囚人飯とはレストランや食堂でクソまずいミールを提供されたときに罵倒する言葉であるが、ここで見る囚人飯はどうやらそこまでひどいものではなさそうだ。最近は牢獄も食事がちゃんとしたものになってきて、お金がないホームレスの方たちは冬になるとわざと投獄されて暖も取れて食事もできる刑務所に自ずから行くそうだ。ちなみに私がよく好きで食べに行くラーメン二郎は囚人飯はおろか残飯と称される。

不満としては見事脱出したもののラストが呆気なさ過ぎて感動がない。脱獄しましたーいーすとうっどじいさんいませんー探すけどいないー菊の花落ちてるーチクショウ!みたいな流れなのだがほんと呆気ない。その後テロップで実際の話を映して終わり。当時の作風とかもあるんだろうが、脱獄したらまず外の空気をいっぱい吸う」とか、イーストウッド爺さんがその後どっかのカフェでエスプレッソをすすってる様子を映すとか、そういうのを欲した。
しかし名作であることは間違いないし、様々な作品のルーツを感じる良作。