2015年11月8日日曜日

【映画】エベレスト




色んな人が色んな場面で美味しいところを持っていく映画。
IMAX隊カッケー!
スコットかっけー!
ロブカッケー!
ダグかっけー!
〇〇かっけー!
ヤスコ「ぁりがとござんます」

まるで極寒のエベレストの中に自分がいるのかと思わせるカットの連続。心なしか体の芯から冷えてくる気すら覚える。
ほとんど真っ白なシーンの連続で退屈になるかと思いきや、どこをとっても美しいこと限りない。これは撮影の腕が光るところだろう。私もつい上ってみようと思ってしまうほど。(金銭的にも体力的にも時間的にも無理)


クルーの記者が登頂を前にして皆に問う。
なぜ君たちはここまで過酷な山に死を恐れず大金をかけて登ろうとするのか?
このシーンが個人的に一番良かった。
一人一人の山への思いを述べる。
メールマンの”美しい山があるのに上らないのは罪だろう”
このセリフはおそらく最後まで頭に残るだろう。

そしてこれは山=目標に対するそれぞれの価値観とも置き換えられる。

スコットなんかは登れないやつは置いていくスタンスでクルーを率いる。一見協調性の無い”ボス”だが、困っていれば喜んで手を差しのばしステロイドを打って山を往復するようなガッツを持ったエキセントリックな役だ。
前張りで大事なところを隠すスコットことジェイクギレンホールのオフショット
一方のロブは、全員の能力を理解し一人一人に声をかけ全員を登頂させようとする”リーダー”だ。決して置いていくような事はなく、自分の犠牲をも厭わない。

ここまで記述して分かったかもしれないが、この映画はただ山を登る映画ではない。目標に対する人間の生き方や美しさを見事に描いている。おそらくトピックスは山じゃなくとも、会社でもランニングでもいいだろう。核になる部分は同じでいい。

しかし山を登るという至極分かりやすい目標、一点にめがけて多くの人の様々な行動パターンがあるという描写は、観客の我々にとって非常にわかりやすく、今後の良い教訓になる。


そして何より感じたのは、無機質で圧倒的な威力を持つ山に対して、ちっぽけな人間の土壇場の粘り強さ。あのメンバーが屈強だった事は勿論あるが、人間てすげぇなと純粋に思わせる。
私事だが、昔は山に登り、ホノルルマラソンを無理やり完走したりしたが、ゴールが見えた瞬間体力が回復して全速力出来たり、応援で疲れが飛んだり、太陽の日差しを浴びた途端動けなかった足が動き出したりと、自分でも驚くことが多々あった。
おそらく過酷な環境に幾度となく挑戦する人はそういったアドレナリンを求めて危険を冒すのだろう。火事場の馬鹿力とはよく言うが、窮地に立たされた人間のパワーと言うものは見ていて感動する。


残念な点として、登場人物の描写が弱い。もっとそれぞれの普段であったり性格や行動パターンにフォーカスを置いていたら凄まじい映画になっていただろう。

それと前半の適応が少し冗長。人間の死はびっくりするくらいあっさり(それだけ無力なのを表しているのだろうが)のに対して無駄が少し多かった印象。
しかしそんなことがどうでもよくなるくらいの緊迫感と圧倒的な山の威力を思い知れる良良良良作

PS
エベレスト麓にある寺院の時点で富士山頂の標高超えてるとか僧侶やべぇな。