2014年7月10日木曜日

【映画】グランドブダペストホテル






あらすじ
1932年、品格が漂うグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)は、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客たちをもてなしていた。しかし、常連客のマダムD(ティルダ・スウィントン)が殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。グスタヴは信頼するベルボーイのゼロ(トニー・レヴォロリ)と一緒にホテルの威信を維持すべく、ヨーロッパ中を駆け巡り……。


フォレストガンプでは人生はチョコレートだと言っていたが思うに映画もチョコレートだと思う。
その包み紙を開けるまで味も観た目もわからない。包み紙が豪華で宣伝がとてもおいしそうに言っていようが、中に入ってるカカオが高級だろうがまずいこともあるしそれが好きな人もいる。
ダイハードとかは所謂ウォールマートとかで大量に安売りされている袋詰めのチョコレート。
ブダペストホテルは言うならば金の包み紙に包まれた、高級な食べるのが惜しいチョコレート。
ウェスアンダーソン監督の作るチョコレートは箱にみっちみちに凝縮されていて一つ一つがそれぞれ違った味。それもとてつもなくおしゃれな箱に入っている。
食べる年齢によっても味わいは変わりそうだ。


ウェスアンダーソンはテキサスで生まれた。
テキサスなんぞ言うなれば埃っぽい街にTボーンステーキをかっ食らう筋肉バカとバカ騒ぎする若者くらいしかイメージが湧かないが(完全に悪魔のいけにえの影響)、恐らくウェスアンダーソンはそんなステロイド脳に適合出来ずプレッピーに憧れを抱き続けた。そしてダージリン急行ではインドを経てライフアクアティックでは海底を経て、遂に本丸であるヨーロッパプレッピー文化のど真ん中をテーマとして取り上げたのだ。
よくある外人が他国をテーマに取り上げるととんでもないものが出来上がるが(日本と中国がごっちゃになってたり、スシ!ウドン!とか叫んでたり)恐らく勉強し尽くしただけあってヨーロピアンテイストを完全にクリアしている。

やり方としては今までと一ミリも変わっていない。左右上下のパン、横スクロール、キャラクターの濃さ、アイテムのこだわり、ウェスアンダーソン節の炸裂である。
今までと違うのはストーリーがしっかりとある(笑)。まるで今までがなかったというような言い方だが今まではすげえ雑だった。



シュテファン・ツヴァイクの昨日の世界を軸にしているがこの際それは知らなくても問題はない。知っていれば内容がもっと深く知れるという程度だ。これまでの作品と違い興行収入が伸びているのはウェスアンダーソン作品がかなり一般的になりまた一般にも分かりやすく楽しめる作品になったことを物語る。ただだからと言ってウェスのやりたいことを妥協したようには見えず、ヒッチコックやキューブリックの踏襲でありながらもサイレント映画をも匂わせながら、脱走劇、銃撃戦、ストップモーションとありとあらゆる世界を混ぜ込んで絵本的世界を独特の世界観で作り上げている。

まあ難しいことを抜きにしていえばめっちゃオサレ。徹底されたウェスアンダーソン美学。群集劇好きの私にとってこれだけ個性豊かな面々がそれぞれ個性を爆発してくれるとうれしいものだ。

言いたいことが特に出てこなくなってしまうほどいい映画。
オーウェンウィルソンが全然出てこなくて残念。

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