2013年1月14日月曜日

【映画】ジョニーは戦場へいった




ここまでおぞましい戦争映画を未だかつてみたことはない。フルメタルジャケットが恐ろしきリアルな残虐性を描いたとしてもそれはキューブリックの頭の中での空想にしかすぎない。なにが恐ろしいって、これは現実にあったことだから。

第一次世界大戦が始まりアメリカが参戦した。当然苦難の長期戦となったアメリカ軍は兵力が足りず若者を徴兵することとなる。片田舎でごく普通の生活をしていた青年ジョーボナムもこの地獄へと案内される。
病室の一角、ジョーはベッドに横になっていた。
何か言葉を発しようとも手を動かそうも、どうにもならない。
ジョーは爆弾により手も足も顔もすべてを失った。あるのは皮膚の感覚と、生殖器のみ。身体中の感覚を駆使して探ってみると顎はなく目も耳も何もなかった。
生きる意味とは。この世の地獄を味わうも、死なせてもらえず肉の塊となり生きる事を強いられる。神はなんと無慈悲な事か。
ジョーは病室の中で過去を回想する。頬に感じる暖かみ、太陽の光だ。思えば父はいつも釣竿を作ってくれた。あの木漏れ日の中で釣りをした日々。
ジョーには許嫁がいた。戦争に行く前夜二人は抱き合った。女は涙したが、次の日彼は記者に乗った。戦場では異臭のするドイツ兵を埋めていた。そうだ、そのとき被曝したのだ。父は言った何かあればモールス信号を使えと。そうだ、モールス信号を使えばいい。彼はわずかに動かせる頭でモールス信号を看護師に送った。SOSと。
部屋に長官が呼ばれジョーは自分を殺せと哀願する。
しかし長官は望みを受け入れなかった。
ジョーは暗い部屋の隅に追いやられ、一人S..O...S...と。
パラノーマルアクティビティーなんかよりもよっぽど恐ろしくあのかの有名な駄作ミストよりもよっぽど胸糞悪い。ただ決定的な違いはこれが現実であるということだ。

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