2014年2月12日水曜日

【映画】スノーピアサー





シンドラーのリストを見たことがあるだろうか
ナチスホロコーストによりユダヤ人が虐殺されるのを一人の男が救う話だ。映画はとても長いのだが、中盤ユダヤ人がすし詰めで貨物列車のようなものに詰め込まれ座ることもできず長時間地獄へと運ばれる。

スノーピアサーはそういったホロコーストやヒエラルキー、権力関係を痛切に批判している。また同時に名作ソイレントグリーンにあるような温暖化をベースとした無視できない問題にも目を向けている。


あらすじ
地球温暖化を防ぐべく世界中で散布された薬品CW-7により、氷河期が引き起こされてしまった2031年の地球。生き残ったわずかな人類は1台の列車に乗り込み、深い雪に覆われた極寒の大地を行くあてもなく移動していた。車両前方で一部の富裕層が環境変化以前と変わらぬ優雅な暮らしを送る一方、後方に押し込められて奴隷のような扱いを受ける人々の怒りは爆発寸前に。そんな中、カーティス(クリス・エヴァンス)という男が立ち上がり、仲間と共に富裕層から列車を奪おうと反乱を起こす。


序盤から中盤にかけては暗く汚い最後尾(最下層)の人々の暮らしが描かれる。それはまるでスラムで配給制のようなシステムでプロテインバーが配られていた。これがまたおぞましく、途中で明らかになるのだが、毎日食っていた羊羹みたいなビジュアルのプロテインバーはなんとゴキブリから精製されていた!ここで俺は歓喜する。ソイレントグリーンじゃん!と。温暖化を取り上げていた時点でその感はなんとなくあったが、胸糞エッセンスにはゴキブリは最高の材料だと思う。人間から作っていたらソイレントグリーンのまんまなのでゴキブリにシフトしたのは高評価。しかもこの事実を知りながら精製を一人で行う男は完全に頭がイカれてしまっているという設定も良い。

また反乱が起こるのも主人公の決意ではなく実は恣意的なものであり、ヒエラルキーのバランスのために行われた、というのも面白い。フランス革命は搾取するトップに対して商工者等ブルジョワが行ったものだが、それがもし恣意的なものだったら?たとえばスペインが裏で手を回しフランスを奪うために行ったとしたら?もちろん当事者はそんなことは露知らず血を流し自然と権力者の意図に従う。

終盤、エドハリスは至極落ち着いて人類のバランスについて語る。パッセンジャーは彼にとって指数でしかなくパーセンテージで管理している。感情論を一切排除しコンピュータのように管理する冷酷さはエドハリスが適役であった。高評価。

またセキュリティをプログラムした親子が途中出てくる。グエムルのソンガンホなのだが、ビジュアルが謎にオールドボーイテイスト。ヤク中だが腕は立つ役でこういうやついるよな~と。娘は透視に長けており(この辺がちょっとファンタジー)危険を察知する。個人的にはクラウドアトラスのペドゥナを起用して欲しかった。
ティルダスウィントンは相変わらずサブキャラを演じるのがうまい。一人二役やっていたようだが発見できず。

ラスト、雪崩という天災によりヒエラルキーは崩れ落ちリセットされ、振り出しに戻るのだが、今までの映画ならば生き残りは白人の男女だったはずだ。しかし残ったのはアジア人(透視女)と黒人の子(エンジン坊や)。これは紛れもなくWASPの支配していたヒエラルキーが崩れおち、有色人種の時代になりつつあることをポンジュノが示唆している。事実、アメリカにある有名大学は中国人が大半で、UCLAに至ってはUniversity of Chinese lost in LA(ロスで迷子になった中国人)という蔑称が生まれる程に。アメリカのトップはオバマであるし、もはや白人至上主義の時代は終焉を迎えつつある。

結構日本語が出てきたり水族館の隣で寿司食ったりと(板前がなぜか黒人)ニンジャゲイシャお侍さんジャパニーズカルチャーが暴走してるのだが監督が好きなんだろうか??


 


PS
息子を奪われた父ちゃんが靴投げた罰で腕を凍らされて粉々にされちゃうやつ、絶対”黒い太陽731”だよな?!トラウマ映画だから絶対に良い子は見ちゃダメだ!

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