2013年12月25日水曜日
【映画】コンテイジョン
いままでインフェクテッド系の映画と言ったら28日後のような感染し凶暴化し世界は終焉を迎えるみたいな流れが主流であった。所謂ゾンビというジャンルになるわけだがこの映画は凶暴化はせず淡々と感染の部分をクローズアップし、よりリアルに我々の生活に十分起こりうるウイルスの危険性、またそれに伴う人間の心理を映している。
最近スマートフォンでは感染株式会社というアプリが一部で流行っている。それは自分でバクテリアやウイルスをまず選びそれを遺伝子操作や症状などの変化させ保険機関にワクチンで制御されないよう食い止めるという言ってしまえば不謹慎なゲームなのだが、まさにそれの映画化と言ってもいい。残念ながら映画ではウイルス側は負けてしまうが、スペイン風邪や黒死病がごとく治療法が分からず人々は混乱し何千万と言う人間が死ぬ。近年だと豚インフルやSARSなどが記憶に新しいが、目に見えないミクロの殺人鬼ということで見ているこっちもうがいしたくなる映画だ。
あらすじ
香港出張からアメリカに帰国したベスは体調を崩し、2日後に亡くなる。時を同じくして、香港で青年が、ロンドンでモデル、東京ではビジネスマンが突然倒れる。謎のウイルス感染が発生したのだ。新型ウイルスは、驚異的な速度で全世界に広がっていった。
米国疾病対策センター(CDC)は危険を承知で感染地区にドクターを送り込み、世界保健機関(WHO)はウイルスの起源を突き止めようとする。だが、ある過激なジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽る。その恐怖はウイルスより急速に感染し、人々はパニックに陥り、社会は崩壊していく。国家が、医師が、そして家族を守るごく普通の人々が選んだ決断とは──?
映画はなぜかDAY2(二日目)から始まる。あれ序盤スキップしちゃったかな?と疑問に思うが心配ない。そのからくりは最後わかる。そんでもってあーなるほどね!と声を漏らす。全体的に言えることなのだが終始無駄がなく、無駄なシーンは三秒ほどのカットの繰り返しをテクノBGMでPVのように仕上げながらさらっと進む。そのためストーリーの重々しさや政府機関などのつまらないと感じさせるエッセンスを飲み込みやすくしてくれるスマートな作り。それが故に拘束で広がっていくパンデミックの恐怖と民衆の恐怖や噂の拡散速度を表す作りにも加担してると言えよう。しかしどこか冷静なまでに第三者的視点で全体を見ている感は否めない。
コンテイジョンで声を大にしてソダーバーグが我々に訴えかけるものそれは、病気<FLU>よりも恐ろしいものは噂<RUMAR>であり、感染は病気よりも遥かに早く、病気よりも恐ろしい暴動という症状を引き起こす。
また近年インターネットメディアの発達によりそのスピードは恐ろしく早くなった。
メディアの信用は地に落ち、ジュードロウ演じるフリーランスのライターのような根拠のないネットブロガー達が人々の恐怖を煽り事態をさらに悪化させるあたりが非常にリアル。
ロメロがいち早くダイアリーオブザデッドで掲示していた信憑性の定かでない情報の嵐の危険性をウイルスが人という媒介を通して繁殖するように、ウイルスという媒介を通してこの映画は我々にその危険性を伝えている。
マットデイモンは唯一抗体を持っており殺人ウイルスに感染しない。だからと言ってヒーローのように政府と戦うわけではなく何もできず立ちつくしまた周りの人間と同じように他人の家に入り銃をパクる。結局最後まで何をするわけでもなく娘と普通の大衆サイドの生き方をする。思うのはやはりこの役、マットデイモンじゃなくてよくね?
余談だがダークナイトでバットマンにアクロバティック強制連行させられた香港のラウ社長がコンテイジョンに出てくるのだが、ラウ社長はマリオンコティヤール扮するCDCの調査員を拉致する。ダークナイトシリーズを見ている人にとっては謎の展開だろう。
最後握手という今まで最も恐れられていた行為をすることにより人々はパニックに陥っても懐疑的になり過ぎてはならないというメッセージを送る。
おそらく誰しもがこの映画を見た後狂ったように手洗いうがいをするだろう。見るもの全部がばいきんだらけに見える不思議!!
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