2013年12月6日金曜日

【映画】キャプテンフィリップス


ボーンシリーズやユナイテッド93のポールグリーングラス監督による2009年に実際に起きたソマリア沖海賊人質事件がベースとなったノンフィクションフィルム。援助物資として5000トン以上の食糧を積み、ケニアに向かって航行していたコンテナ船マースク・アラバマ号は、ソマリア海域で海賊に襲われ、瞬く間に占拠されてしまう。ベテラン船長リチャード・フィリップスは、20人の乗組員を解放することと引き換えに自ら拘束され、たった1人でソマリア人の海賊と命がけの駆け引きを始める。米海軍特殊部隊の救出作戦とともに、緊迫した4日間を描く。
卒論のテーマがソマリア沖海賊の安全保障問題ということで鑑賞。アカデミー賞有力候補として期待値を高めに行ったからなのか、思ったより展開読めて退屈というのがまず第一の感想。
トムハンクスの演技はラストの安堵の涙や拘束時のにらみなどはうねるような良さでこれが俳優と言うにふさわしいと感じた。しかしトムハンクスが良すぎたこともあってうまい食材を塩で味付けしただけみたいな印象が残る。独創性や深みはなく、終わった後また食べたいと思う料理ではなく、味について深く考えることもない。
アメリカという巨大な存在に生活の糧を搾取された人々は小さなボートとボロボロのAK47を装備し最後の手段である海賊ビジネスで立ち向かうも、巨大な船に梯子をかけた瞬間その大きさを思い知る。しかし戻れど地獄進めど地獄、無謀だと分かっていながらも立ち向かい華麗なヘッドショットを食らって幕を閉じる。もはや語り尽くされてきた感のある正義の反対は正義という善悪二元論を捨て去ったシナリオにしたかったのだろうが、ネイビーシールズと海軍の無双状態で、全くそれは描かれていない。前半ではトムハンクス演じるキャプテンはいつものように起きて、息子の就職難を心配し、一方でソマリアの民は職業を奪われた先進国に対し奪還を行おうと集う対比が出来ていた。しかしながらそれは後半では生かされておらず、こいつ絶対死ぬだろと分かり切った流れとその通りに死ぬソマリア人と仕事を終えてとっとと帰っていくネイビーシールズの作業感とが前半と後半で連動していない。結局我々はこの問題に対して深く考えるわけでもなく、ただアメリカの強さを見せつけられて、傍観するだけであり、トムハンクスの演技がなければバトルシップと同じレベルのつまらなさ。トムハンクスだったから首の皮一枚繋がったものの、独善主義的なスタンスで否応なしに海賊ビジネスを強いられている状況、またそれを強いることとなった先進国アメリカ、またそれを理解したうえで煙たがり、国への支援よりも軍事力の強化を優先するようなアメリカというものをより一層露呈してほしかった。
特筆すべき点としては船酔いする人は酔い止めを飲むことをお勧めする。

P.S.
席番15って伝えたからには15以外はハチの巣にするのかと思いきや律義に全員確認するまで撃たないとかがっかりだよ!

0 件のコメント:

コメントを投稿